崇峻天皇御書(三種財宝御書)2009:11月号大白蓮華より。先生の講義
「一人を大切に」そこに仏法者の振る舞いが
中国の青年代表団と語らった際、創価学会の発展を尋ねられました。そのとき私は、すかさず申し上げました。
「それは、一人一人の学会員を大切にしてきたからです!」
これは私の確信であり、ゆるがぬ哲学です。
「一人を大切にする」 これこそ、日蓮仏法の根本であります。「一は万が母」です。一人の成仏が万人の成仏の道を開くのです。日蓮大聖人は、一人の竜女の成仏が、末代までの女人成仏の道を踏み開けたと仰せになられましいた。これを「挙一例諸」ともいいます。
一人の学会員の中に、全学会員があります。ゆえに、創価学会全体が元気になります。「一対一の胸襟を開いた語らい」がある限り、学会は永遠に発展します。
迷える友には確信を、悩める友には希望を。絶望の友には勇気を。悲嘆の友には歓喜を。苦悩の友には智慧を、挫折の友には不退を。不安の友には安心を。逡巡の友には信念を。励ましにつぐ励ましが、「蘇生の母」となり、「共戦の絆」となり、「幸福の一歩」となります。
思えば、恩師・戸田先生は、個人指導の達人でした。
草創期に、東京・市ヶ谷に置かれていた学会本部の「分室」階段を上がったところにある4・5坪ほどの狭い部屋には、戸田先生の指導を求めてやってくる学会員でいつもいっぱいでした。
経済苦、病苦、家庭不和、言うに言えない深刻な悩みを抱えて訪ねてきた会員も、先生の「どうした?」との温かい声を聞いて安堵し、ありのままに苦悩を吐露しました。
堰を切ったように語ってくる友に、恩師は常に「大丈夫!」「この信心をして幸福にならないいわけがない」と励まされました。戸田先生は、絶えず御書を引かれ「これは、大聖人の教えだよ。僕の言葉じゃないよ」と言われながら、激励されました。先生の確信に満ち満ちた言葉に、訪れた人は一人ももれなく蘇生の力を得て、力強い足どりで帰ったものです。この方たちが宿命を乗り越えながら、今度は地域で、戸田先生から遣わされた“幸福大使”となって後輩を励まし、多くの人材を育ててきました。
一人から二人、三人へ、十人から百人、千人、万人へと広がった善の連帯が幸の人華となって日本列島を包みました。やがて世界にも広がり、今日の創価学会・SGIの堂々たる大陣列を築き上げてきたのです。
御書を拝すると、大聖人が、相手の性格や置かれた状況を的確に知悉されたうえで御指導されていることが伝わってきます。とりわけ「崇峻天皇御書」の一節一節には、人生の最大の苦境に陥った四条金吾に対する師匠の限りない慈愛が、様々な配慮やアドバイスの一つ一つに、にじみ出ております。
あたかも、お手紙を綴られている大聖人の目の前に金吾が座っているが如く、一言一言、金吾の反応を直接御覧になりながら、語りかけるように筆を運ばれています。時には細かく身の処し方を、時には鋭く金吾の人間革命の急所となる課題の指摘を。時には不惜身命で戦う金吾への賞嘆を その度ごとに大聖人は金吾の顔を思い浮かべておられたのかもしれません。
大きくうなずく納得の顔、反省する顔、紅潮する顔、愁眉を開いた安心の顔、決意に引き締まっていく顔、一瞬一瞬、変化する生命と対峙しながら、相手の無明の闇を晴らす、宿命を打開する勇気と希望を湧現させ、魔性を打破する智慧を与えていく。個人指導は、慈愛と確信の真剣勝負です。生命と生命の打ち合いです。金吾を激励され、勝利への突破口を開いた。「崇峻天皇御書」は、私たちにとって、いわば、“信心指導の教科書”と拝することができるでしょう。