王日殿御返事

要文

法華経の一字は大地のごとし、万物を出生す。一字は大海のごとし、衆流を納む。一字は日月のごとし、四天下をてらす。

 弁房の便宜に三百文、今度二百文、給び畢わんぬ。
仏は真に尊くして物によらず。昔の徳勝童子は、沙の餅を仏に供養し奉って阿育大王と生まれて、一閻浮提の主たりき。貧女の我がかしらをおろして油と成せしが、須弥山を吹きぬきし風もこの火をけさず。されば、この二・三の鵝目は、日本国を知る人の国を寄せ、七宝の塔を忉利天にくみあげたらんにもすぐるべし。
法華経の一字は大地のごとし、万物を出生す。一字は大海のごとし、衆流を納む。一字は日月のごとし、四天下をてらす。この一字変じて月となる。月変じて仏となる。稲は変じて苗となる。苗は変じて草となる。草変じて米となる。米変じて人となる。人変じて仏となる。女人変じて妙の一字となる。妙の一字変じて台上の釈迦仏となるべし。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。恐々謹言。
日蓮 花押
王日殿

背景と大意

この手紙は弘安3年(1280年)に身延で王日女という女性に宛てて書かれたものです。彼女についてはあまり知られていませんが、手紙の冒頭の一節は、彼女が大聖人の高弟の一人である日昭と何らかのつながりを持っていたことを示唆しています。 大聖人は、徳勝童子の物語や、髪の毛を切って油とした貧しい女性の物語を引き合いに出し、まず王日女の供養決して大きくはなかったが、真心のこもったものであったことを讃えられています。そして、すべての人々を成仏させる南無妙法蓮華経の偉大な力を説いています。

現代語訳

王日女への返信

私は、あなたが送ってくれた 300 枚の硬貨を僧侶である弁阿闍梨・日昭の手によってすでに受け取りました。そして今、あなたは再び私に 200 枚の硬貨を送ってくれました。
仏陀は本当に尊敬に値するお方であり、決してお供え物の多寡で判断することはありません。 かつて、徳勝童子が仏陀に砂の餅を捧げ、阿育大王として生まれ変わり、一閻浮提を統治しました。 ある貧しい女性が髪を切り、[仏陀のための]油を買うためにそれを売りました。そして、須弥山から吹き下ろす風でさえ、この油を供給した灯の炎を消すことができませんでした。 故に、汝らの二連、三連の銭の供養は、日本国を供養して三十三神の天に届く七種の宝物を備えた塔を建てる日本の君主の供養よりもはるかに大きいのです。
法華経の一文字は万物を生み出す大地のようなものです。 1 つの文字は、すべての川の水を含む大海のようなものです。 1 つの文字は、四大陸すべてを照らす太陽と月のようなものです。
この一文字が変化して月になる。 月が変われば仏になる。稲が変化して苗となる。 苗が変化して茎になります。 茎が変化して米になります。 お米は変わって人になります。 そして人は変化し、仏陀となるのです。 女性が変化して妙の一文字となる。 妙の字が変化し、蓮華座に座る釈迦如来となります。 南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。

深い敬意を表しつつ、

日蓮

王日様へ

 

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