さだしげ殿御返事

さだしげ殿御返事

 建治2年(ʼ76)12月20日 55歳 さだしげ殿

 さきざきに申しつるがごとし。世間の学者、仏法を学問して智慧を明らめて、我も我もとおもいぬ。一生のうちにむなしくなりて、ゆめのごとくに申しつれども、唯一大事を知らず。よくよく心得させ給うべし。あなかしこ、あなかしこ。
  十二月二十日    日蓮 花押
 さだしげ殿御返事

現代語訳

前から申し上げているとおりである。世間の学者は仏法を学問して、我も我も智慧を得たと思っている、一生を無駄にして、夢のようなことを言っているが、唯一大事の法門を知らない。このことをよくよく心得られるべきである。あなかしこ・あなかしこ。

十二月二十日                          日 蓮 在 御判

さだしげ殿御返事

 

語釈

唯一大事

一大事とは、これ一つしかない究極の大事との意で、諸仏がそのために世に出現したところの秘密の大法を一大事の秘法という。唯とはそりより他にないということ。文底独一本門の三大秘法をさしている。

 

講義

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