現代語訳
立正安国論の正本が富木殿のところにあるから、書き写して送っていただきたい。富木殿か、また他の弟子衆のところにあるか。
五月二十六日 日蓮花押
語句の解説
正本
写本に対して、大聖人の御直筆を正本という。ここでおおせられている富木殿のもとにある正本は、文永六年十二月八日に写され富木入道に授与されたものである。
富木殿
富木は土木、富城とも表記される。下総国葛飾郡八幡荘若宮に住み、千葉氏に仕えていた武士。日蓮大聖人が立宗宣言をされて間もない建長六年(一二五四年)ごろに入信したとされ、よく外護の任に励み、門下の中核として活躍した。