兵衛志殿女房御返事(御子どもの事)

兵衛志殿女房御返事(御子どもの事)

 弘安2年(ʼ79)11月25日 58歳 池上宗長の妻

 兵衛志殿女房、絹片裏給び候い了わんぬ。この御心は法華経の御宝前に申し上げて候。
 まこととはおぼえ候わねども、この御房たちの申し候は「御子どもは多し。よにせけんかつがつとおわする」と申し候こそなげかしく候えども、「さりとも」とおぼしめし候え。恐々謹言。
  十一月二十五日    日蓮 花押
 兵衛志殿女房御返事

現代語訳

兵衛志殿女房より供養の絹の片裏をいただきました。このお志は法華経(御本尊)の御宝前に申し上げておきました。

本当のこととは思ってはおりませんが、この御房たちのいうには、あなたが子がないので、人生をふっつり思いきって、さびしく過ごしていらっしゃるといっておりましたが、そのことは嘆かわしいことです。

だが子供がいなくとも、決して嘆くことなく、御本尊を抱きしめ、希望に燃えて、力強い一生を生ききっていきなさい。恐恐。

十一月二十五日

日 蓮  在 御 判

兵衛志殿女房御返事

 

講義

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