松野尼御前御返事

松野尼御前御返事

 弘安2年(ʼ79)または同3年(ʼ80)の1月21日 58歳または59歳 松野尼

 と申す鳥となれり。日本国の人にはにくまれ候いぬ。みちふみわくる人も候わぬに、おもいよらせ給いての御心ざし、石の中の火のごとし、火の中の蓮のごとし。ありがたく候、ありがたく候。恐々謹言。
  正月二十一日    日蓮 花押
 松のの尼御前御返事

 

現代語訳

日蓮は日本国の人に憎まれております。この身延の山中は、道を踏みわけて訪ねてくれる人もいないのに、山中の不便な生活を思いやられてあなたの御志は、石の中の火のように、また、火中の蓮のようなものです。まことにありがたいことと存じます。恐恐。

正月二十一日                  日蓮 在 御 判

松の尼御前御返事

 

語釈

 

石の中の火のごとし火の中の蓮のごとし

信じがたいことを意味する。

 

講義

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