一生成仏抄

一生成仏抄

 

  1. 第一章(一生成仏のための妙理を説く)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義
      1. 一生成仏と即身成仏について
      2. ① 中国天台宗における即身成仏観
      3. ② 伝教大師の即身成仏観 ~ 一生成仏との関連
      4. ③ 日蓮大聖人における即身成仏と一生成仏
      5. ④ 真言の即身成仏義に対する日蓮大聖人の破折
      6. 夫れ無始の生死を留めて……衆生本有の妙理を観ずるにてあるなり
  2. 第二章(妙法蓮華経の法体を明かす)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義
      1. 文理真正の経王なれば文字即実相なり実相即妙法なり
      2. 唯所詮一心法界の旨を説き顕すを妙法と名く
      3. 一心法界の旨とは十界三千の依正色心・非情草木……此の理を覚知するを一心法界とも云うなるべし
      4. 無始の生死と一心法界との関係について
  3. 第三章(妙法を唱える者の用心を説く)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義
  4. 第四章(迷悟不二に約し題目修行を勧む)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義
      1. 浄名経の中には諸仏の解脱を衆生の心行に求めば衆生即菩提なり……心清ければ土も清し
      2. 只今も一念無明の迷心は磨かざる鏡なり是を磨かば必ず法性真如の明鏡と成るべし
  5. 第五章(妙法蓮華経の意味を明かす)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義
      1. 妙とは何と云う心ぞや只我が一念の心・不思議なる処を妙とは云うなり……中道一実の妙体にして不思議なるを妙とは名くるなり
      2. 此の妙なる心を名けて法とも云うなり
      3. 此の法門の不思議をあらはすに譬を事法にかたどりて蓮華と名く
      4. 一心を妙と知りぬれば亦転じて余心をも妙法と知る処を妙経とは云うなり
      5. 然ればすなはち善悪に付いて起り起る処の念心の当体……成仏の直道とは云うなり
  6. 第六章(一生成仏の信心を促す)
    1. 現代語訳
    2. 語釈
    3. 講義

第一章(一生成仏のための妙理を説く)

 建長7年(ʼ55) 34歳 (富木常忍)

 夫れ、無始の生死を留めて、この度決定して無上菩提を証せんと思わば、すべからく衆生本有の妙理を観ずべし。衆生本有の妙理とは、妙法蓮華経これなり。故に、妙法蓮華経と唱えたてまつれば、衆生本有の妙理を観ずるにてあるなり。

 

現代語訳

そもそも、無始以来の生死流転の苦しみをとどめ、このたびこそ必ず無上菩提を証得しようと思うならば、すべからく衆生本有の妙理を観ずるべきである。
 この衆生本有の妙理とは妙法蓮華経のことである。ゆえに妙法蓮華経と唱えたてまつるならば、衆生本有の妙理を観ずることになるのである。

 

語釈

無始の生死
 ①無始以来、際限なく六道を輪廻し、生死の苦しみを繰り返すこと。②生死即涅槃と開く本有の生死のこと。

無上菩提
 最高の悟りを得ること。成仏の境地。「無上」最上・最高。「菩提」は梵語ボーディ(bodhi)の音写、覚・智・道などと訳す。菩提に声聞・縁覚・仏の三種あるが、仏の菩提は最高であり、これに過ぎることがないことを無上菩提という。

衆生本有の妙理
 一切衆生の生命に本然的に具備している理で、衆生の本性・法性のこと。

衆生
 梵語サットヴァ(sattva)の音写。薩埵と訳す。この世に存在するもの、生けるもの。主として人間をさす場合が多いが、感覚をもつ生き物すべてをいう。

本有
 久遠より常住していること。

妙法蓮華経
 ①経典の名前。②法華経に説かれる法理。③所詮の法体。南無妙法蓮華経のこと。三大秘法のこと。 

 

講義

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