舂麦御書

 女房の御参詣こそ、ゆめともうつつとも、ありがたく候いしか。心ざしいちのはせ申す。当時の御いも、ふゆのたこうなのごとし、あになつのゆきにことならん。
 舂き麦一俵・芋一籠・笋二丸、給び畢わんぬ。
  五月二十八日

 

現代語訳

女房殿の御参詣は、夢とも現とも判じがたいほどありがたく、うれしいことでありました。御志は、実に手あつく、真心のこもったものです。今の時期のお芋ほどめずらしく、冬の筍のようであり、それは、まさに夏の雪にも異ならず珍しいものです。

舂麦一俵・芋一篭・筍二本いただきました。

五月廿八日

 

語釈

いちのはせ

第一の御馳走。

 

いも

里芋のこと。

 

かたうな

タケノコのこと。

 

舂麦

大麦を臼でつき、平たくしたもの。

 

講義

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